執筆:Kakeru|Product Team|Code Chrysalis
こんにちは。Code Chrysalis でカリキュラム開発を担当している Kakeru です。現在は、次回の CC Bootcamp のカリキュラムをつくっています。
以前の記事では、CC のカリキュラムが受講者にとっての「適切な挑戦」をどう設計しているか、という考え方を紹介しました。今回は、その考え方が実際のブートキャンプでどんな形になっているのか、次回の CC Bootcamp の全体像を紹介します。

CC Bootcamp は自社でソフトウェアをつくれるチームを育てたい企業に向けた、12週間(約3カ月)のフルタイムのプログラムです。プロダクトマネージャー(PM)、プロダクトデザイナー(PD)、ソフトウェアエンジニア(Devs)の3つのロール別のコースがあります。
パイロットでたとえると、CC Bootcamp は訓練センターにあたります。修了時に目指すのは、機長と並んで実際の便を飛ばせる「副操縦士」です。チームの一員として、レビューや相談を受けながらプロダクト開発を前に進められる状態というようなイメージです。機長として独り立ちするための経験は、修了後にそれぞれの現場で積んでいきます。
ロール別のコースと聞くと、3つのコースがそれぞれ独立して開講されていて、受講者は自分のコースだけを受ける。そんな姿を想像する方が多いかもしれません。
実際、前半の8週間、受講者はロールごとに分かれて学びます。
ただ、私たちは CC Bootcamp を「3つの別々のコース」だとは考えていません。後半の4週間、3つのロールはひとつのチームとして合流し、実際にプロダクトをつくります。CC Bootcamp のカリキュラムは、この合同プロジェクトから逆算して組み立てた、ひとつのカリキュラムです。
最終プロジェクトのゴールは、ユーザーの課題を探りながら「何をつくるべきか」を確かめ、それを動くプロダクトにするまでの流れを、チームで回せるようになることです。正解が決まっていない中で、仮説を立て、試し、学んだことをもとに次の一手を決めていく。この進め方が身につくと、会社に戻ったあとも決められた仕様をそのままつくるのではなく、ユーザーの視点から何をつくるべきかを問い直しながらプロダクト開発を進められるようになります。
最終プロジェクトでは、チームで新しいプロダクトを4週間でつくります。
PM と PD は D&F(Discovery & Framing)を担います。Discovery はユーザーの話を聞くなどして課題を探る工程、Framing はそこで分かったことをもとに「何をつくるべきか」を定める工程です。
PM・PD が D&F で見えてきたことをもとに、Devs も加わってバックログを一緒に詰め、すぐに開発へ入れる状態にしていきます。Devs はそのバックログをもとに実装を進めます。最後の Demo Day では、動くプロダクトと検証の結果を発表します。

この4週間でチームがつくる成果物には、課題の定義、ペルソナ、ユーザーストーリーと受け入れ基準、ユーザビリティテストの結果、デプロイしたアプリケーションなどがあります。前半8週間のカリキュラムは、これらを最終プロジェクトでつくれるように、必要なスキルから逆算して組み立てています。ロールごとに分かれて学ぶ前半も、最終プロジェクトで自分の担当を果たせるようになるための期間です。

12週間の流れを図にすると、このようになります。どこで分かれ、どこで一緒に学ぶかも、最終プロジェクトから逆算して決めています。
PM と PD は、現場でも一緒に動くことが多く、知っておくべきことも重なるため、「合同 → 個別 → 合同」の順で学びます。最初の3週間は一緒に D&F を一通り身につけ、共通の認識を持って協働できるようにします。その後はいったん分かれて、それぞれの専門性を深めるレクチャーを受けます。PM は事業戦略や KPI、バックログの管理を、PD は情報設計や UI デザインを扱います。専門性を深めたあとは再び合流し、それを実践に生かす部分に一緒に取り組みます。
Devs は、バックエンドからフロントエンド、デプロイまで、フルスタックの開発を一通り学びます。ペアプログラミングやコードレビューを日々の練習に組み込み、ソロでの開発の後にチームでの開発に取り組みます。
8週目の後半からは3つのロールが合流し、最終プロジェクトに向けて動き出します。PM と PD は前半から一緒に学んでいますが、Devs と一緒に作業するのはここが初めてです。そのため、いきなりプロジェクトに入るのではなく、まずは3ロール合同の共通レクチャーで共通言語と共通認識を持つところから始めます。
4週間でゼロから新しいプロダクトをつくるのは、経験を積んだチームでも難しく、それぞれの分野を学んだばかりの受講者にとっては大きな挑戦です。検証が終わらず開発に渡せなかったり、認識がずれたまま作業が進んでしまったりと、さまざまな問題が起こりえます。
しかし、CC Bootcamp の最終プロジェクトでは、無難にプロジェクトを終わらせることをゴールにはしていません。起きる問題も学びの機会ととらえてチームで向き合ってもらいます。同じようなことは修了後の実務でも起こりうるからです。目指しているのは次のような状態です。
⚫︎ 周りから仮説の弱さを指摘されても、根拠を持って仮説を立て直せること
⚫︎ ロールの間でずれや詰まりが起きても、チームの仕組みで見つけて直し、プロセスを止めずに前へ進められること
こうした場面では、直前の共通レクチャーでそろえた共通言語だけでは足りません。必要になるのは、異なる専門を持つ人と協働するための力で、私たちはこれを「パワースキル」と呼んでいます。以前の記事で詳しく紹介していますが、自ら問いを立てる、一人で抱えずにチームで協働する、完璧を待たずに小さく作って試すといった仕事への向き合い方のことです。
この力は最後の4週間だけで身につくものではありません。そのため前半の8週間も週に1コマ、PM・PD・Devs の全員が集まってパワースキルの共通レクチャーを受けます。各コマは学んだことをすぐに使える時期に置き、最後のチームビルディングは最終プロジェクトの直前に行います。
なお、前半は AI を使わずに学びます。自分で考える前に AI を使うと考える機会そのものがなくなり、学び始めたばかりの段階では AI の出力の誤りにも気づきにくいからです。後半は AI も取り入れます。前半に自分の手で基礎を身につけているからこそ、AI の出力を見極めながら実装を速く進められ、D&F で立てた仮説を動くプロダクトで確かめるサイクルを4週間の中で何度も回せます。ただし、いま鍛えようとしているスキルの中心となる作業はまず自分でやります。Devs の場合は、AI が書いたコードを自分の言葉で説明できなければマージしない、というルールを設けています。
前回の CC Bootcamp に参加した受講者の方々からは、インタビューでこんな声が聞かれました(インタビュー記事はこちら)。
| 完璧に準備ができたと思ってから話すのではなく、適切な段階で相談できるようになった。
一見すると小さなコミュニケーションの変化に見えますが、私たちはこれを先ほど紹介した「完璧を待たずに小さく作って試す」姿勢が身についた表れだと考えています。完璧になるまで抱え込まず、途中で人に見せて、その反応をもとに次の行動を決める。これはプロダクト開発の進め方と同じです。最終プロジェクトで D&F と開発を毎週行き来するのも、この姿勢を身につけてもらうためです。
CC Bootcamp のカリキュラムは、最後の4週間に3つのロールが合流することから逆算して、前半の学ぶ順番や分かれる時間と合流する時間、AI の取り入れ方を決めています。ここでの経験が修了後にほかのメンバーと一緒にプロダクト開発を進めるときの土台になればと考えています。
今後の記事では、PM・PD・Devs それぞれのロールがどんな役割を担うのかも紹介していく予定です。
自社でプロダクトを内製したいけれど、どこから人を育てればよいかわからない。あるいは自分のロールの深掘りをしたいと思っているなら、ぜひ一度お話ししましょう。
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