日本のIT業界で働いて感じたジェンダーギャップ

Kiki
August 1, 2023

今回は、日本のIT業界で働いて感じたジェンダーギャップについて共有したいと思います。

アジェンダとしては、ジェンダーギャップ、バイアスを感じた例を紹介した後、バイアスがなかったらどうなっていたかということを考えていきます。その後、最近私がいいなと思ったプロダクトを紹介して、これから必要となるスキルについて考えていこうと思います。

まずは、私がIT業界で働いて、ジェンダーギャップを生み出しているバイアスを感じた例について書いていこうと思います。二つ例を取り上げます。一つ目はある開発チームでみんなでポジティブフィードバックをし合おうという会でのことです。

そこでメンバーはテックスキル、ソフトスキル、開発に関わるスキルの中で、「あなたの長所はここですよね」と話し合っていたのですが、あるメンバーが女性のメンバーに対して「私たちのチームのマスコットキャラとして癒してくれた」というフィードバックをしていました。このことについてどう思いますか?その女性はテックスキル、ソフトスキル共に高い人で、他に評価するところが沢山あったので、何か属性によるバイアスがかかっているんじゃないかと感じました。

また、あるチームではペルソナを共働き夫婦に設定していましたが、母親も父親も働いていて互いに家事・育児を担っているはずなのに、仕事と育児の両立に悩んでいるのは母親役割の人だけ、という設定でした.

ではもし、これらの例にバイアスがかかってなかったら、もしくは自分には無意識のバイアスがかかっている、ということを自覚していたらどうなっていたか考えてみましょう.

マスコットキャラ、癒しキャラと評価された女性は、チームを円滑に進めるためのソフト面やテックの面での長所が評価されて、適切な能力を発揮できる場所に配属されたでしょう。ペルソナが共働き夫婦となってたプロダクトも、プロダクトのUIや、プロダクト自体の方向性が変わっていたかもしれません。

次に私がいいなと思ったプロダクトについて書いていこうと思います。

まずはシンプルな生理用ナプキンです。このナプキンは、「女性はファンシーな柄が好き」というバイアスや、ステレオタイプを無くしたものだと考えられます。このプロダクトが生まれたことで、ファンシーな柄を好まない人も持ち運びやすく、子宮オーナーでない人が使用する時にも手に取りやすいデザインになっています。

https://www.elleair.jp/product/detail/menstrual_megami_suhada_large_wing_lohaco

そしてもう一つ紹介したいのは、この黄色いボタンです。Pechatと言って、ぬいぐるみにつけるとぬいぐるみと喋れるようになるボタンです。自分のお気に入りのぬいぐるみにこのボタンを着けることで、その子と喋れるようになります。

https://pechat.jp/

では、もしこのぺチャットの開発過程でバイアスがあったらどうなっていたでしょうか。例えば、「ぬいぐるみとしゃべりたい子はこういう子だ」「ぬいぐるみとしゃべりたい子はこういうぬいぐるみが好きだろう」という決めつけがあったとしたら、この”しゃべる”という機能に特化したボタンではなく、ぬいぐるみそのもののデザインや制作にコストをかけていたかもしれません。

最後に、これから私たちはどうしていくべきかということを考えてみましょう。昨今のAIの進化は凄まじく、AI関連の記事を見ない日はないほどです。AIはとても便利で賢いですが、AIが学習しているデータはどうでしょうか?学問は長い間、女性や有色人種への学問の道を閉ざしていました。その結果、AIは現在から見ると大量のバイアスがかかった、偏った意見を出すことがあります。では、そこで人間ができることはなんでしょうか。

私たちは、自分のバイアスや社会にあるギャップを自覚することで、見逃されている困りごと、ニーズを見つけることができます。そして、”本当に必要な人に申し込んでもらえるプロダクト”を作ることができます。AIの進化を待っているわけにはいきません。

現在、テックの面ではAIの助けを借りて開発スピードを早めることができます。ではどこで差をつけられるのか?私はソフトスキル面だと考えます。AIでは是正できないバイアスや、社会のギャップを自覚することで、あらゆるニーズを見つけて誰かの困りごとを解決するプロダクト作りに繋がると思います。

ジェンダーギャップが根強い日本では、見逃されがちな悩み事を解決するプロダクトはまだまだ少ないと思っています。こういうプロダクトを作っていくことで、ジェンダーギャップの解消や、誰もが住みやすい社会につながると私は考えます。